2024年12月17日
決定
第33回 JSC 賞決定
第33回 JSC 賞は 映画『骨を掘る男』を撮影された 奥間勝也さん が受賞されま
した。(監督・編集も奥間さんが担当)
作品 HP :https://closetothebone.jp/
— 作品紹介 —
沖縄では南部を中心に、今も3000柱近くの遺骨が眠っているとされます。この作品
はそんな遺骨の収集を40年間続けている具志堅隆松さんの活動を中心に描かれたド
キュメンタリー映画です。「出逢ったことのない人の死を悼むことはできるのか?」と
いう奥間監督の自問とともに、監督が自身の戦死した大叔母の生きた痕跡を探す姿や
「平和の礎」に刻銘された24万人の名を読み上げるプロジェクトも紹介されます。
具志堅さんの子供の世代である監督が、地元沖縄の歴史に正面から向き合って長期取
材した意欲作です。
— 受賞理由 —
主人公の具志堅さんが沖縄の土に埋もれている戦没者の遺骨を掘るのは地味で単調な
作業です。暗くて狭い悪条件の中でその様子を撮影するにあたり、説明として十分な
撮影が出来れば課題はクリアした事にはなりますが、具志堅さんの “ 次の〈ひと堀
り〉で新たな遺骨に巡り合えるかもしれない ” という想いまで感じてもらえる映像
表現は簡単ではありません。作品にはもちろん必要に応じてナレーションでの説明は
入りますが、最も伝えたい部分を映像から感じ取ってもらう事に成功しており、今回
の受賞はその点が高く評価されました。作品後半、様々な人が「平和の礎」に刻まれ
た24万人の名前を読み上げている場面や「平和の礎」で人々が慰霊している姿も印
象的でした。ただ作品は少々長く 撮影・監督・編集を一人でやっている場合の弱点で
あり〈他者の視点を入れ簡潔に出来れば…〉の意見にも賛同がありました。しかし最
終的には優れた映像が作品全体を高めている貢献度の高さから今回の授賞が決まりま
した。
使用機材:パナソニック LUMIX DC-GH5S
監督:奥間勝也(おくま・かつや)
1984年沖縄県生まれ。映像作家。琉球大学大学院修士課程で文学を学んだ後に上京。沖縄を舞台に制作した中編映画『ギフト』(11)がニヨン国際ドキュメンタリー映画祭(Visions du Reel:スイス)や山形国際ドキュメンタリー映画祭など国内外で上映される。北インド・ラダック地方で撮影した『ラダック それぞれの物語』(15)は山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門で奨励賞を受賞。WOWOW「いま甦る幻の映画『ひろしま』~受け継がれていく映画人の想い~」(15)では全日本テレビ番組製作社連盟ATP賞最優秀新人賞を受賞した。
JSC賞委員会